2017/02/16

フリーランストークナイト「場所にとらわれない3人の生き方」

こんにちは、田舎フリーランス養成講座運営スタッフのもぐらのぞみです。

田舎フリーランス養成講座が開催されている「コミュニティースペースまるも」は千葉・金谷にあるコワーキングスペースで、受講生以外にも、まるも会員のみなさんが日々仕事をしています。そして、その多くが移住者でありフリーランス。そんな人とも交流をもち、先輩として働くこと・生きることへのアドバイスを仰げるのもひとつの魅力です。

また、金谷という土地や、まるものスペース運営、そしてまるも会員それぞれに惹かれて、ここへやってくる人々もいます。
先日、まるもを訪れたプロ無職のるってぃさんと、起業家ブロガーのぶんたさんもそのひとり。
ふたりは様々な事業を行い、フリーランスとして生計をたてている、受講生にとっては先輩的存在。

そんなおふたりから、より多くの教えを請いたいと、田舎フリーランス養成講座の夜の特別講義「フリーランスナイト ~1年後どこにいるか。場所にとらわれない3人の働き方~」が開かれました。

登壇者紹介

るってぃ

プロ無職(フリーランス)。

新卒で入社した会社を10ヶ月で辞め、好きな生き方や働き方を実現しています。シリコンバレーで勉強して吸収したことを、今度は社会に還元しようと全国で講演活動を行いました。
Airbnb専門メディア「エアログ」を運営。

ぶんた

高校中退起業家。

生徒会長をつとめていた高校を卒業目前で退学し、起業。現在は事業効率化など企業コンサルティングを行っています。春からは高知県に移住し、NPO法人の活動に携わる予定です。

「いつまでもアフタースクール」というブログを運営し、ひざうらを愛でています。

カルロス

田舎フリーランス養成講座の講師。

運営するブログ「カルロス天才ドットコム」のファンに呼ばれるまま、全国を飛び回ったり、アーティストのツアーに同行したり、リゾートバイトに従事したりと、金谷を拠点にしながらも、様々な場所で活動してます。

自身でイベントの企画・運営を行い、多くの人々に出会いの場を提供。

池ちゃん

田舎フリーランス養成講座のメイン講師。

地方開拓家として、田舎で新しい動きを巻き起こしています。今回はファシリテーターとしての参加です。

 

未来~3人は1年後、10年後、なにをしているか~

「1年後、なにをしていますか?」

田舎フリーランス養成講座では、「やりたいことリスト100」の作成や、タスク管理術を学んだり、事業計画書をつくったりすることで、先の未来を見据えて行動することを身につけるように受講生を促しています。
では、今回のスピーカーである3人はどんな未来を思い描いているのでしょうか?

まず、話題は「1年後になにをしているか」。

起業家ブロガーのぶんたさんは、4月から高知県へ移住予定。
そこで、新しいコミュニティつくりをし、社会にうまく馴染めずに悩む人・生き苦しさを感じる人の受け皿になるような場所をつくることに情熱を傾けたいそう。

幸い、高知県には、使われていない民家がたくさんあって、大人数を受け入れるハコ自体は既にある状態です。それをどのように活用していくかは、ぶんたさんの裁量。
また、高知県は都会に比べて生活コストが低いので、日雇いバイトでも5日働けば、1ヶ月分の生活費を稼げるそうです。そこで生まれた時間の余裕を、自分に向き合う時間にあててくれたらいい、というぶんたさん。

いままさに高知への移住に取り組んでいるぶんたさんに対して、るってぃさんとカルロスさんは、海外での活動を視野にいれています。

全国講演を成功させたばかりのるってぃさん。
アーティストの全国ツアーに同行して、日本中を周ったカルロスさん。

カルロスさんのブログには、たくさんのファンがいて「遊びに来てください!」という声が、国内だけにとどまらず、世界中から届いています。
パナマ、イタリア、オーストリア、ブータン、ベトナム、タイ…
呼ばれるままに、世界中を巡るのもいいんじゃないかな、と笑うカルロスさん。
田舎フリーランス養成講座の講師を務めるために金谷へ戻ってくるまでは、冬の北海道で働いていましたが、次の冬はカナダも選択肢として考えているそう。

「10年後、なにをしていますか?」

たった1年先でも、未知の可能性に胸躍らせている3人。では、10年後はどうなっているのでしょうか?


22歳のときにニューヨークへ留学し、「そこから俺の人生が始まった。だから、俺、まだ3歳みたいなもので」と笑うるってぃさんは、アメリカでは鬱状態に陥っている人は、意外にもお金持ちが多いという事実によって、お金の価値を改めて考えたそうです。

10年後には35歳になっているるってぃさん。
いまのるってぃさんの生活で、固定費は携帯代だけ、というので驚き。10年後、35歳のときにはその究極系を目指したい、と言います。

お金がない状態でも、47都道府県全てに信頼できる人がいて、いざとなったら身を寄せられるような状態になっていれたらいい、と考えているるってぃさんは、お金よりも人との信用関係に重きを置いています。

10年後は38歳になっているカルロスさんも、同じように、お金にとらわれすぎないで欲しい、と受講生に訴えました。

田舎フリーランス養成講座に来る人の多くが、「どこでも仕事ができるフリーランスになって、お金を稼いで、色んなところで暮らしたい」と思っています(そういうわけで旅人も多いです)。それはとても理想的な生き方のように思えて、田舎フリーランス養成講座で学んだスキルを伸ばして仕事を獲得していけば、実現可能性の高い生き方です。

しかし、もし、そうできなかったら、という不安がないわけではありません。田舎フリーランス養成講座では必要なものを与えて、それが成長するサポートを行いますが、やはり肝心なのは本人の努力と、適性です。講師やスタッフがいくら頑張っても、本人が自分の方向性に邁進できなければ、お金を稼げない状況に陥ることも考えられます。

 

「お金があればどこても生きていける、というのをあんまり考えすぎないで欲しい。俺は、お金がなくても生きていけるってことを教えたい」と田舎フリーランス養成講座の講師として、みんなに語りかけるカルロスさん。

その言葉とおり、カルロスさんは、田舎フリーランス養成講座の受講生でありながら、スキルを売ってお金にする、ということに頼っていません。カルロスさんだからこそを活かし、個性を売りに、面白いことに常に惹かれて渡り歩いています(それでも適度に稼いでいるのが、彼のすごいところ)。

10年後も、楽しいことをしていたい。確かなことは、いま考えていることは超えるだろう、ということ。

カルロスさんと同じく、ぶんたさんも、あまり10年後のはっきりしたビジョンは描いていないそうです。

あまり先のことを考えすぎるとプレッシャーになるので、3年後くらいまでしか考えていないぶんたさん(10年後でも32歳なんて、これからののびしろが無限大に思える)。
「未来って怖い。怖いものは考えたくないでしょ」というぶんたさんは、普段、年下と思えないほど賢く、わたしの一歩も二歩も先を進んでいるけれど、そのときに年相応の男の子の顔が見えたように思えました。

るってぃさんがふたりの話を聞いていて、ぽつりと零しました。
「いま10年後のことを考えて、ほんとにそうなっていたらやばいよね。思考が停止している」

その言葉に、ふたりとも大きく頷くなか、ファシリテーターを務めたいた池ちゃんが、おもむろに口を開きました。

「その通りにする必要はないよね、考える行為に意味があるのであって。

考えるとまずスピード感がわかる。さきの目標を決めるといまするべきこと、いまの年齢でするべきことが分かる。
道はもちろん違ってくるけれど、高さはみえてくる。

実際になにができたのかじゃなくて、未来の高さ・レベル感をもつことはいい。だから、みんなにも、1年後、10年後について考えを巡らせて欲しい」

「そんで、いま思ってたことが、10年後に、ちいさいこと考えてたなーって、笑い飛ばせたら最高じゃね?」とみんなを見まわしたカルロスさんと、ここまでの言葉で自分の未来にそれぞれ思いをはせていたみんなの表情を見ていると、「きっとそうなっているよ」と自然と思えました、不思議なほどに。

場所~3人はどこで生きていくのか~

いまも行きたいところへ自由に移動して働いている3人。

それぞれにいま注目している場所、気になる場所について聞いてみました。

いまはパン屋さんがはいっているシェアハウスの管理人として家賃タダで暮らしているるってぃさんは、国内で生活を送るとしたら夏は札幌、冬は福岡で暮らすのがいい、と感じているそう。季節ごとに住む場所を変えるのは、フリーランスならでは。
また、近年外資系企業のサテライトオフィス設置を誘致している徳島県の神山町にも注目しています。

高知県に移住するぶんたさんは、循環型社会を日本で最初に取り入れたといわれる岡山県真庭市に「1、2カ月は住んでみたい」と言います。「もったいない」の視点から、捨てられるものを資源に変える流れは、高知でも大いに有効でしょう。
また高知と真庭の共通点として、「外部の人を歓迎しているところ」をあげました。歓迎する体制だからこそ、外部の人間であるぶんたさんが、生活の拠点をうつしてまで、その土地を活かした新しい活動を展開しようと本格的に始動することができたのでしょう。

また、ひざうらをこよなく愛しているぶんたさんとしてはヨーロッパの街並みをバックにひざうら撮影をすることを夢見ています。しかし、生活の拠点としては海外はあまり考えていないようで、自分の手が届く国内をもっと見て回りたいと話しました。

先月まで、真っ白な雪が降り積もる北海道にいたカルロスさんは、「寒いところは行ったし、次は暑いところで沖縄かな!」とその単純明快さで笑いを誘いました。

 

コミュニティの作り方

ファシリテーターを務める池ちゃんは、春から、金谷のほかに、同じ南房総に位置するいすみ市でもコミュニティつくりを始めます。
そんな池ちゃんに、今回の特別講義を聞こうとまるもにやってきた金谷の移住者・滝田さんから質問が。
滝田さんは、大学時代に金谷で農業をしていたことで金谷を好きになり、移り住んだ方です。最近では、イベント主催をして金谷に人を呼び込んだりと、金谷の盛り上がりを担うひとり。1年半ほど活動をしていて、人脈がつながり、やりたいことも増え、責任も増しているそうです。

「縁を恩返しするまでは永住する、ってくらいの気持ちではいるけど、ずっといるかは分からない。次の場所に移る区切りはどうつければいいと思いますか?」

その質問に対して「母体を大きくすること」と答えた池ちゃん。
母体が大きくなることで、そこから個人(リーダー/始めた人)が消えても、組織として機能すると言います。

実際に、田舎フリーランス養成講座を開催しているコミュニティスペースまるもを創設したのは池ちゃんですが、今年にはいって、その運営をふたりのスタッフに任せました。そうした理由には、個人でひっぱるよりも、事業として先導して行う方が、組織は大きく成長していくと考えているからだそうです。

また、るってぃさんも、池ちゃんのコミュニティに対する考え方を聞いて、自身のリーダー論を語りました。

「リーダーというのは、その場に旗を立てる人」とるってぃさんは表現しました。
旗さえたてれば、なにかしたいと思っている人が自然と集まり、実際の動きと言うのは、その集まった人がやってくれると言います。
その旗をたて、人が集まるように目立たせるために、今回の登壇者がやっているようなブログやソーシャルメディアの運用が大事になっていくのでしょう。

 

「面白い人ってどんな人?」

「面白い人がいると、面白い場所に思えて、人が集まるしね」という誰かの意見に頷きながら、話は、「じゃあ、面白い人ってどんな人だろう?」ということへ。

るってぃさんは、日本人離れしている人に魅力を感じているようで、だからこそ、海外への興味も深いのでしょう。
ぶんたさんは、欠陥がある人が面白いと感じています。欠陥がある、と聞くと既存の社会においてはマイナスなことのように感じられますが、発信者としては「美味しい」と思える個性。生き方が変わると、自分の中身も(実際はそのままでも、その捉え方が変わることによって、当然)変わる。

誰かの「だめなところ」とされがちな部分を、簡単に欠点だと切り捨ててしまうのではなく、自分の方の価値観をその人にあわせて変えてみる。すると、途端にマイナスがプラスになる(それが面白く思える)。

そこれからの社会を一歩動かす人は、ぶんたさんのような人との接し方ができる人ではないでしょうか。

コミュニティスペースまるもでも、会社のような集団のなかではうまくできない人が、それ自体を活かせる場があって、面白い人・人を惹きつけられる人になるチャンスを秘めています。

取り組み方~3人はどうやって生きていくのか~

つづいて、話題は3人の取り組み方へ。

ここまで、三者三様の答えをもっていましたが、「場所を先に決めて取り組むか、やりたいとこを先に決めて取り組むか」という問いには、「やりたいことが先にある」と3人が口をそろえました。

ぶんたさんは、「ここがいい」という自分の気持ちから発生するこだわりで場所選びはしていないそうで、場所ありきの、自分のスキルを活かせるところを見つけたら、その場所に行くそうです。「ここだったら、自分の強みを活かせるな」という直感に従います。

田舎フリーランス養成講座を受講し千葉県金谷という土地にやってきた受講生に新生活を始めるコツとして、るってぃさんは、「なにかしらのコミュニティにはいるといい」とアドバイスしました。そして「新人を嫌うコミュニティを二流だ」という持論も。
ぶんたさんは、新生活も新事業も同じだと考えていて、どちらにしても、新しく始める場合は、最初からトップに自分のスキルをアピールするべき、と説きました。一番上と馴染めば、全体と馴染む。そうやってはやく溶け込むことで、余分なことを考える時間が短縮され、自分がしたいことへ使える時間が増えます。

最後に~やりたいことをやるために、大事にしていること~

お酒を飲みながら語りあった夜の田舎フリーランス養成講座特別講義も終盤。最後に、「やりたいことをやる上で大事にしていること」を聞きました。

講義のなかでたびたびお金のことを口にしたるってぃさんは「どれだけお金をつまれてもワクワクしないこと・人とは仕事をしない」と決めているそうです。

講義のなかで、これからのことを話すと、必然的に「やりたいこと」の話になりました。るってぃさんは1つやりたいことをだすと同時に、3つやらないことを決めているのだそう。
「やりたいことは、みんな考えている。やりたいことを100あげるなら、やらないことも300だせ!」
いまは企業向けコンサルティングをしながら、ブログで情報発信を行ったり、ひざうらを愛でていたりするぶんたさんは、(ひざうらを別として)「一生をかけてこれをやりたい!」という明確なものはないそうです。自分を必要としている場所に対して自分がコミットできることを大事にしているそう。
「この場所で自分が価値を提供できるのかときちんと実感してからじゃないとやらないようにしていますね。自分のスキルをいかせる部分をヒアリングしてみつけて、そこで最大限をだす。そうすると自然と自分自身が成長しているんです」

カルロスさんは、昔の予定だと、金谷には移住せずに四国へ行っているはずでした。でも、いま金谷にいて、たくさんの受講生を前にして自身の生き方を語っています。「有言不実行」というワードをだしたカルロスさん。
「やりたくなくなったときに、やめることの美学ってあると思うんだよね。迷うのも人間だからさ、そこはおおらかにいこう」

 

お酒を飲んで、全員の頬は色づいていました。特別講義のはじめからつけられていたストーブ。熱いトークは2時間半もの長丁場となり、終わったころには、空気がぼわっとあたためられていて、でも、話しに夢中になっていて室温の上昇なんか気にならずに、終わってはじめて自分が暑い空間にいたことに気づきました。
熱い身体も、暑い空気も、しかしながら、お酒とストーブのせいだけではなかったと思います。

刺激的な話と、ワクワクするようなそれぞれの未来。話に熱心に耳を傾け、3人の無限にひろがる未来を考えながら、すこしだけ拓いたように思える自分のこれから。

特別講義が終わり、スピーカー、ファシリテーター、受講生の垣根がなくなっても、わたしたちの気分は高揚したまま、いつまでも熱に浮かされたように、ただ目だけは真剣さに輝いて、金谷の夜が最も深くなるところに落ち着くまで、語らうことが止まりませんでした。